「子供に迷惑をかけたくない」・・・親の願いと老後の現実

親の介護

多くの親が「子供に迷惑をかけたくない」と言いますが、実際のところ、完全に迷惑をかけずに老後を過ごせている親はほとんどいません。 老後の現実は厳しく、事前の準備がないと子供への負担が増えるケースが多くなります。

親の老後の現実を 「経済面」「健康・介護面」「住まいの問題」「親と子の考え方の違い」 という観点から詳しく解説し、子供に本当に迷惑をかけないためにできること についても考えます。


① 経済面:老後資金の不足と子供への影響

✅ 理想: 「自分の老後資金は自分で準備し、子供に頼らずに暮らしたい」
❌ 現実: 「退職金や年金だけでは足りず、子供に援助を求めざるを得ない」

老後に必要な資金は、最低でも2,000万円~3,000万円(総務省や金融庁の試算による)とされていますが、以下の理由で資金が不足するケースが多発しています。

🔹 老後資金が足りなくなる主な原因

  1. 年金だけでは生活が厳しい

    • 日本の年金は減少傾向にあり、フルタイムで働いた会社員でも月額 約15~20万円 の受給が一般的です。
    • しかし、毎月の生活費は夫婦で 25~30万円 ほどかかることが多く、赤字になる家庭も。
  2. 医療費・介護費の負担増

    • 70代後半から医療費が急増するため、月数万円の自己負担が発生 することも。
    • 要介護になると、介護サービス費+施設費で年間100万円以上 必要になるケースも。
  3. 予想以上に長生きしてしまう(長生きリスク)

    • 90歳以上まで生きる人が増えており、貯金を使い果たすリスク が高まっている。
    • 85歳以上の貯金残高は「ゼロ」という家庭も少なくない。

🔹 結果:子供が親の生活費や医療費を援助せざるを得ない
親が「子供には頼らない」と思っていても、貯金が尽きた時に 最も頼りやすいのはやはり子供 です。援助が必要になれば、子供の家計にも負担がのしかかる ことになります。


② 健康・介護面:要介護になったときの現実

✅ 理想: 「元気なまま自立して生活し、介護は必要ない」
❌ 現実: 「高齢になれば身体機能が低下し、介護が必要になることが多い」

要介護状態になる確率は、80代で50%以上、90代では80%以上 と言われています。つまり、多くの人が「子供の手を借りずに生涯を終える」というのは難しいのです。

🔹 介護の現実と子供への影響

  1. 認知症リスクの増加

    • 日本では 85歳以上の4割が認知症 になるとされています。
    • 認知症になると、財産管理や医療手続きを自分でできなくなり、子供が対応する必要がある
    • 介護施設に入る場合、月額15~30万円の費用 がかかることも。
  2. 在宅介護の負担

    • 施設に入らず在宅で介護する場合、家族の精神的・肉体的負担が大きい
    • 仕事を辞めたり、介護休職を取ったりする子供もいる。
    • 特に女性(娘や息子の妻)が介護を担うケースが多く、負担が偏りがち。

③ 住まいの問題:どこで暮らすのか問題

✅ 理想: 「最後まで自宅で暮らしたい」
❌ 現実: 「自宅では生活が難しくなり、子供の家や施設に移るケースも」

🔹 親が自宅に住み続ける場合の問題

  • 高齢になると 階段や段差での転倒リスク が高まり、骨折 → 寝たきり → 介護状態 という流れになりやすい。
  • 田舎に住んでいる場合、病院やスーパーが遠くなり、生活が不便になる
  • 高齢になると孤独感 が強まり、精神的な健康も影響を受ける。

🔹 施設に入る場合の問題

  • 介護施設の費用が高く、月15万円以上かかるケースが多い
  • 人気の施設は待機期間が長く、すぐに入れない ことも。
  • 「できるだけ長く自宅で」と思っていても、結局は子供の判断で施設に入ることになる ことが多い。

④ 親と子の考え方のギャップ

🔹 親の考え

  • 「子供に迷惑をかけたくない」
  • 「施設には入りたくない」
  • 「できるだけ自立して暮らしたい」

🔹 子供の考え

  • 「いざとなったら親を放っておけない」
  • 「お金や時間の負担が大きすぎると、生活が厳しくなる」
  • 「親には元気でいてほしいけれど、現実的には支えきれない」

⑤ 子供に本当に迷惑をかけないためにできること

老後資金をしっかり準備する
介護が必要になったときのプランを考えておく
エンディングノートを用意し、子供に伝えておく
子供と早めに話し合っておく(「老後どうする?」をタブーにしない)


💡 まとめ:親の「迷惑をかけたくない」は準備がなければ叶わない

「迷惑をかけたくない」と思っていても、何の準備もしていなければ、結局子供に負担がかかる ことになります。

現実的な対策を講じることで、子供が精神的・経済的に余裕をもって親を支えられるようになるのです。

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